archaic smile

想いを言葉にすることで
わたしはその想いから隔てられ
想いは元の想いではなくなってしまう


時間について語らないとき
私はそれを知っているにもかかわらず
語ろうとすると
途端に知らない何かになってしまうように


美しいと言えば
美しさに呪縛され
そこに醜さが生まれる
善と言えば
善に呪縛され
そこに悪が生まれる


美と醜の彼方には
そして善と悪の彼方には
いったい何があるのだろう
しかしそう問うだけでは
その彼方へと超えていくことはできないだろう


言葉と思考の彼方へと向かうためには
ただ微笑が必要だ
しかし言葉と思考を遠ざけたところでは
その微笑が浮かぶことはないだろう


世界のなかで世界を超えるためには
想いの呪縛を解かなければならない
時間のなかで時間を超えるために
時間の呪縛を解かなければならないように


そして私は想いをめぐらし
時間とともに老いながら
ときに微笑むことを学んでいく
限界のなかで無限を夢み
夢と現の境を踏み越えながら




※アルカイック・スマイル (archaic smile)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB