「人間関係」小考

多くの人は、月が一方的に地球のまわりを公転しているものと、
なんとなく思っているけど、少し調べてみれば、
かつてそうだったことなんて一度もないことが分かる。


地球は決して静止している訳ではなく、
地球もまた月のまわりをめぐっている。


実際には、
地球から月までの距離の約3分の1の距離に、
お互いの回転の中心点があって、
2つの天体はこの点を中心に螺旋運動をしながら、
太陽のまわりを公転しているのだ。



「上なるものは下なるもののごとし、
 下なるものは上なるもののごとし。」



この天体の事例は、
「或る運命と別の運命との間に、
 特定の関係が生じるということがどう説明できるのか?」
という人間間の問題を考える際のヒントにもなるだろう。と思う。


つまり、
その二つの運命の間にある点を結んで線にするだけではなく、
また、距離の近さをもとに同じ画面に収めることででもなく、
その二つの間にある第三の点を中心に、
互いに回転する(螺旋)運動を見据えて初めて、
特定の「関係」とかなにかの「縁」というものの
より精確な輪郭が捉えられるのかも知れない。


僕らの間にある中心点はどこにあって、
僕らはどういった運動を共有することによって
「われわれ」たりえているのか。


運動の全体像がわずかでも見えてくれば、
細部の状況にも息が吹き込まれ、
単なる記号から意味を持った具体的な状況へと変貌する。


一連の運動の中で現れてくる、
流・波・旋・巻・渦・律・環・静とか、
易の64卦とかの祖型的パターンとその組み合わせも、
あくまで「われわれはどこに向かうか」の共有が前提とされて初めて、
その真価が引き出される。