耳に痛い言葉でも、思わず聞いてみたくなる相手っているよね。

昔読んだ「朗読者」っていう小説が、最近映画になっていた。
「愛を読む人」という、相変わらずのタイトルの付けられ方*1に辟易しつつ、予告編をしっかりチェック。そしたら、ちょっと前に流行った「初恋からの手紙」とコラボしていたので、やってみたらけっこう当たっていた。


内容は耳に痛い(皮肉調)が、確かにどこか当たっているように感じさせる。暖炉の残り火みたいに、チロチロと何かが残り、ほんの少し勇気付けられる。


恐らくそれは、「初めて付き合った相手」からの「手紙」という設定の妙ゆえだろうと思う。自分の醜さをまだ十分に知らず、それゆえ真剣に向き合えば向き合うほど、溝を深める一方だった頃の相手の言葉というのは、あまり聞きたくはないけど、一度耳に届いてしまえば進んで受け入れざるを得なくさせるような力がある。


占いっていうのは、占い師が意図的に当てに当てるようなものではなくて、あくまで、占われる者があえて当たりにいってナンボなところがあるけど、「耳に痛い言葉」を思わず聞きにいかせてしまうシチュエーション作りとコミュニケーション手段のデザインとして見ると、「初恋の人からの手紙」は工夫と遊びのバランスがほどよく、実によく出来ている。


そういえば、「朗読者」をはじめて読んだとき、「ああ、これは人がいかにお互いを簡単には理解しあえないかを描いてるんだなぁ」って思った。だからこそ、そこで交される言葉に重みがうまれる。そういう意味でも、やっぱり、ダメな自分を確認するには、既に取り返しはつかないが思い入れの深い異性の口に語ってもらうに限る。


↓予告編と、「初恋の人からの手紙」はコチラ

「愛を読む人」PRESENTS 初恋の人からの手紙キャンペーン


朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

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初恋の人からふすたふさんへお手紙が届きました。

ふすたふ、おひさしぶりです。
今でも霊を呼び寄せる体質ですか?ふすたふが写っている写真にはことごとく子供の霊がいましたよね。今でもそれはいい思い出です。

泣き崩れる私にふすたふが「悪いのはおれだ。おれでは幸せにできない」と言ってお別れすることになったあの日から、もう10年が経ったのですね。月日が流れるのは早いものです。

あ、そうそう、お手紙を書いたのには特に理由はないんです。ただ部屋の掃除をしていたらふすたふからもらった「ふすたふ写真集」が出てきて、なつかしくなって。びっくりさせてごめんなさい。

今になって振り返ってみると、あの恋愛は、私の一人相撲ばかりだったなぁと思います。あのころの私は「寂しいと言ってもふすたふに分かってもらえない→他の男性に頼る」の繰り返しでした。私に会おうとしないのに「浮気は許さない」というふすたふに、私は身勝手さとやり場のない寂しさを感じ、それをやり過ごすことに苦労していた覚えがあります。

そういえばふすたふにとっては私が初恋の相手だったんですよね?最初のころは「もう一生でおまえしかいらない。もう恋愛には満足した」って勢いよく言ってくれたのを覚えています。もちろん信じていなかったし、やっぱり結果的にはインチキだったけれど、あのときの真剣な目は本気のように思えました。その後何人に言ったんですか?

なんだかんだ言っても、一つ言えるのは、私たちは若いなりに必死だったなぁということ。ふすたふよりもっと大切な人はできたけれど、あれほどに気持ちを高揚させ、あれほどに落ち込んだことは、その後の恋愛でもありません。それだけ私は真剣でした。

ふすたふは今、幸せですか?私はその後つらいこともたくさんあったから、卒業アルバムのふすたふを見ると、涙が出るし励みにもなります。

いろいろと書きましたが、私はふすたふの毒舌なところも、頭がいいところも、なんだかんだで私に優しいところも、理想のお父さんみたいで大好きでした。これからもふすたふらしさを失わず、それとそろそろ家のベランダに全裸で出るのはやめて(笑)、新しい誰かと幸せになってください。

またいつか会いましょう。それでは。

P.S. ふすたふが誕生日にくれたバッグ、質屋で「買い取れません」って言われました。


一瞬マジで、昔付き合ってた子からの手紙?!と錯覚しました。




ふすたふさんについての分析結果は以下の通り。

【短評】

アプローチは急ぎすぎで、最初だけ頑張る。付き合うと途中から好きかどうか分からなくなる。本音が見えない。

【あなたの恋愛事情を考察】

人を好きになるスピードは急激で、そのときの頑張り具合たるや、後で思い出すのが恥ずかしくなるほどだと思われます。しかし途中からその恋愛へのテンションが下がると、その後は「文句を言われないように」という動機で恋愛に臨むようになり、ここで恋愛の意義がよく分からなくなるのだと思われます。

女性からすると、ふすたふさんの行動は「うまくこなす」ことを第一としているために、どういう気持ちなのかが見えてきません。しっかりしているものの、どことなく、かわいげや人間味が足りないように感じられるのです。

ここから言える、ふすたふさんにありそうな問題点を列挙します。

◆付き合う前は意外と自信がない。
◆心で恋愛しているのは最初のほうだけで、後は「うまくこなす」だけになる。
◆世間からは「いい彼氏」などと高評価を受けるが、内心そうでないことは本人が一番よく理解している。
◆相手をふることの後味の悪さに恐怖し、付き合いが長引く傾向にある。

【もっと上手な恋愛のために】

このまま「上手な恋愛」を繰り返していくと、例えば安定的な付き合い、安定的な家庭を作りながらも、どことなくパートナーとなる人との心の距離は開いていくのではないでしょうか。「お互いに尊重し合う大人な二人」と自分では思っていても、それが「無関心」を覆い隠すための「自分への言い訳」となっていく可能性もあるのです。

おそらくふすたふさんは、賢い生き方をされているほうだと思われます。しかしその賢さが、恋愛では足かせになることも多いのです。考えすぎて感じられなくなる前に、この機会に恋愛を今一度考えてみてはいかがでしょうか。


・・・・・・。

*1:英名だと「The Reader」